皆さん、パニック障害をご存知ですか?無縁であると思われている方もいらっしゃるかと思いますが、誰にでも起こる可能性があります。
名前は聞いたことは有るけれども、どんな病気かはわからないという人も多いのではないでしょうか。実はこの病気、患者数の多いメンタルヘルス疾患のひとつです。
今は無関係と思っていてもいつ我が身に降りかかるかわからないこの病。非正しい知識を持っておきたいですね。
パニック障害とは
パニック障害とは突然理由も無く、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、その為に日常生活に支障をきたしてしまう病気を指します。誰にでも、一時的にパニックになってしまうことはあるかと思いますが、特に原因がある訳ではないのに、突如に様々な症状が現れ、パニック状態に陥るのがパニック障害なのです。
このパニックの発作は非常に強く、自分ではコントロールできないと感じてしまいます。それは「このまま死ぬのではないか」と思ってしまう程。
発作そのものも非常に辛く苦しいのですが、その症状にまたなってしまうのではないかという思いから、特定の場所に行けなくなってしまうという症状も厄介で、これにより外出に支障をきたしてしまうこともあります。
パニック発作には、3大症状がある?
・予期不安
パニック発作が一度起きてしまうととても苦しい為、また起こってしまったらどうしようと考えてしまいます。発作は、約20分から30分程で治りますが、それを繰り返していくうちに、恐怖感や不安感がまとわりつくようになります。
・広場恐怖
外にいる時、電車や人が多い場所、公園などの様々な場所にいる際、発作が起きることで人前で恥をかきたくないという思いや逃げる場所がないということから恐怖感に陥りそのような場所を避けたりします。その為、発作が起きた場所には行きたくないと強く思うことがあります。
・パニック発作
発作が起きることで、症状が出てくる為、恐怖感や不安感から外出を避け、家から出られなくなってしまう事も多いのです。悪化するとうつ病の併発にも繋がりかねません。
この様に、3大症状が現れ、繰り返す事によって、とても悪循環になっています。
100人に1人はなる病気
実はこの病気、決して珍しいものではありません。一生の間にパニック障害になる人は100人に1人~2人といわれます。
あなたの身近にも誰かしらこの病気を経験した人が居る可能性が高いですね。なおこの人数、最近は更に多くなっているのではないかとも言われています。
男性より女性の方がなりやすいというこの病、原因は恐怖や不安と関係がある神経伝達物質「ノルアドレナリン」と興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」のバランスが崩れるためであると言われていますが、まだ詳しい事はわかっていません。
感じる「死の恐怖」
強烈なパニック発作が起きると、人は死の恐怖を感じます。
初めてのパニック発作で救急車を呼ぶ人が非常に多いのはこのためです。
多くの場合内科に運ばれる事になりますが、パニック発作の場合、検査をしてもどこにも異常は現れません。
また、パニック障害の場合、基本的にはパニック発作を繰り返す事になります。
初めは周囲も心配しますが、繰り返すうちに「検査に異常が無いのに死にそうと訴える」と、まるで仮病を訴えるかのように扱われてしまうこともあります。
当事者が感じている死の恐怖は非常に強い為、その扱いもまた、当人を苦しませることになります。
根気よい治療には周囲の理解が不可欠

パニック障害は適切な治療で、確実に良くなる病気です。
ですがこの病気は認知行動療法と呼ばれる不安克服のためのトレーニングのような治療も必要となる為、治療に2~3年程かかることが一般的であるようです。
パニック障害自体は命に関わる病気ではありませんが、早いうちに治療を受ける必要があります。パニック発作が起きないようにコントロールする為に薬物療法から始まることもあります。SSRIという薬が主に使用され、少量から少しづつ量を増やしていきます。SSRIは、うつ病にも効果がある薬なので、うつ病の予防にもなるのです。
しかし、薬の服用だけで完治するものではありません。予期不安や広場恐怖といった回避行動が残っている場合もあります。その場合、取り入れられるのが、認知行動療法です。発作などから避けている場所へ、少しずつ近づいて行けるように、計画を立てながら治療していきます。
また、日常生活の中でストレスを減らしたり、疲れや睡眠不足などにも注意し、なるべく負担をかけないように生活する事を心掛けます。
すぐに治る病気ではない為、完治するには時間がかかります。だからこそ自分を追い詰めたり、焦ったりしない事が大切です。
長い期間をかけて治療するにあたり、必要となるのは周囲の理解です。苦しさにより添う存在は社会生活に復帰するにあたり必要不可欠なものとなります。
この病気に苦しんでいる方に出会ったときは、どうか本人の気の持ちようなどと言わず、回復できるよう見守ってあげてくださいね。