心理学

病気の可能性も?片づけられない症候群を治す方法とは?

部屋が汚い

あなたの周りにもいませんか?出したら出しっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなし、冷蔵庫には賞味期限切れの食品の山、部屋の至るところに埃がフワフワ・・。

そんな部屋の住人は、もしかしたら単にズボラな性格だと言うのではなく、「片づけられない症候群」なのかもしれません。

片付けられない症候群になってしまう原因とは?

テレビでよく特集が組まれていますよね?「ゴミ屋敷」の住人への取材。

出演者が交渉して片づけをしようと説得するのですが、住人はなかなか首を縦に振りません。

それを見た視聴者は「人に迷惑が掛かっているのがわからないのかな」「最低な人だな」などと感想を抱くのではないでしょうか?

でも、片づけられない症候群になってしまう人の中には、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やADD(注意欠陥障害)という、生まれながらの障害、または、鬱や認知症、強迫性障害による収集癖といった病気である可能性もあるのです。

ADHDという障害は「ひとつのことになかなか集中できず、他のことに気を取られてしまうといった”トラップ”に掛かりやすい」「物を探し当てることが苦手」「すぐに物をなくす」「目先のことだけに囚われ、先を読むことができない」「物事の優先順位をつけられない」「せわしなく動き回り、無駄な動きが多い」などの特徴があります。

ADDというのは、ADHDの多動の部分を抜いた「注意欠陥」のみの特徴があります。

ADHDとADDは子供の時に症状が顕著に現れやすいことから、幼少期に診断されることが多いのですが、単に「落ち着きのない子」と見られてしまい、診断を受けることなく成長し、大人になってから苦労するというパターンも少なくありません。

片付けたいのに挫折する

心に抱えている大きな問題を、物を収集することにより埋めていく収集癖(ホーディング)がある人は、集めた物を廃棄されることを怖がり、説得に時間を要します。

身内や、知り合いなどが協力して、根気よく説得していくことが大切です。

ADHDやADDといった障害が原因となっている場合は、周囲の理解があれば、本人は「片づけたい」という意思はあるので、説得はしやすいのですが、片づけの方法がわからずにいるので、一から十まで、手とり足とり片づけ方を教える必要があります。

当人が途中で放棄したからと言って、周囲の人のみで片付けを済ませてしまうと、ほぼ間違いなくリバウンドします。

途中まで出来たのなら、「よくここまで出来たね」と褒めるようにし、どうしても無理なら他の箇所は後日に回すようにして、最後まで本人に参加させるようにすることが大切です。

リバウンドしない片づけ方法

ADHD、ADDの場合は特に、棚を与えられて「ここの箱に入れてある物を棚に全部しまって」と言われても、上手くしまうことができません。

周囲の人が協力して、一通りすべての片づけが終わったら、部屋の見取り図、家具の配置図を書き、更に、その家具には何がしまってあるのかを、できれば写真で、スペースがないのなら文字で記し、「何を」「どこに」片づけるかを明確に示す必要があります。

例えば、引き出しに入っているものをひとつひとつ写真に撮るか、文字にして貼り付け、引き出しの中に仕切りがあるのなら、仕切りに、ひとつひとつの物の写真や文字を貼ります。

最初は手を貸して、「ひとつ出したら次に使う物を手に取る前に、それをしまう」というルールを徹底させます。

その物を使い終わる時を見逃さないようにしないといけないので骨が折れますが、ひとつずつ片づけることをパターン化させてしまうと、後にリバウンドは起こりにくくなります。

また、収納してある物が増えたときには、古いものを捨てるという指示も必要です。

例えば、棚に本を収納したとして、その後新たに買い足した本があるとしたら、ADHD、ADDの場合は、ほぼ間違いなくその棚の前か、上に載せていってしまいます。

3冊買ったら3冊処分するという発想は本人にはありません。ルールとして忘れないよう、棚に張り付けておくことをお勧めします。

心の問題がある人に対しては、根気よく説得をするとともに、本当はどんな部屋に住みたいか、どんな物が好きなのかを雑誌やサイトを見て話し合いをすると効果的です。

理想的な部屋の写真を壁に貼り付けたり、片づけの際に、欲しかった小物をひとつ購入し「これが似合う部屋にしよう」と話してみたりすることもお勧めです。

周りの協力あってこそ治せる

片付けられない症候群は、なかなか一人では立ち向かえません。

周囲の人が温かい目で見守り、協力することで、困難を乗り越えられるのです。当人を責め立てるのではなく、優しく手を差し伸べてあげて下さい。