オキシトシンは、脳内で分泌されるホルモンですが、別名「愛情ホルモン」「社会性ホルモン」とも呼ばれています。
その理由は、スキンシップによって分泌されるホルモンであり、それにより幸福感や安心感を得ることができるからです。
このホルモンをうまく増加させることで、イライラやネガティブな考え方が改善されると言われています。
では、どうすればオキシトシンを増やすことができるのでしょうか?
オキシトシンの驚くべき効果

オキシトシンは、主に陣痛促進剤や子宮収縮剤として使われているホルモンです。
そのホルモンは、当初、女性が出産するときや、産後の授乳のためだけに分泌されるものだと考えられてきましたが、近年、男性にも子供にも分泌されるものだということがわかりました。
そして、親子のスキンシップや、男女間の触れ合い、友人同士でのハグでもオキシトシンが分泌され、増加し、幸福感、安心感、信頼関係、絆が強くなることがわかっています。
また、オキシトシンが分泌されると、セロトニン神経が影響を受け、活性化されます。セロトニン神経が活性化すると、気分が落ち着いたり、ストレスを軽減させたり、痛みを和らげたりという効果が得られます。
自閉症の改善も期待されている

近年、自閉症者への臨床試験も行われています。
それまで他者と目を合わせられなかった、IQテストを受けることができなかった自閉症者が、点鼻薬のオキシトシンを投与されたことにより、目を合わせることができたり、微笑んだり、テストを受けられるようになったという結果が得られています。
空気を読んだり、相手の顔色を窺ったりすることが苦手な自閉症者にも改善が見られ、顔色を確かめることができるようになったそうです。
自閉症は、生まれつきオキシトシンの血中濃度が低いことが知られています。
そのため、他者とのコミュニケーションを取ることが苦手で、不安感が強く、パニックも起こりやすいと考えられています。
そのオキシトシンを投与することで、安心感が生まれ、社会性行動も見られたということになるのでしょう。
ただ、自閉症者への臨床試験はまだまだ研究段階ですので、オキシトシン投与が認可されるまでは、年月がかかるかもしれません。
オキシトシンの増やし方

幸福感や安心感が得られるのであれば、ぜひとも増やしたい!と思う方は、ぜひ“ハグ”をしてみて下さい。
ただし、誰とでもハグをすればいいわけではなく、あくまでも自分が好意を持っている相手のみです。
子供は、親に抱きしめられることで、オキシトシンが分泌されます。
特に幼少期のスキンシップはとても大切で、幼い頃に親から抱きしめられることなく育った子供は、その後別の保護者からどんなに愛情を受けても、抱きしめられても、オキシトシンは分泌されにくくなってしまうのです。
「抱き癖がつくから」と抱っこの回数や時間を減らしてしまうのではなく、思う存分、抱っこ、おんぶをしてあげましょう。
また、ベビーマッサージもオキシトシンの分泌を促すと言われています。赤ちゃんの様子を見ながら、日常的に行うといいかもしれません。
男女間では、性行為によっても分泌されることがわかっています。
ただし、その分泌量は女性のほうが多く、男性は性的欲求の影響を受けやすいため、性行為の後、女性は幸福感や愛情を感じやすく、男性は性的欲求が満たされたことにより、愛情が一気に冷めてしまうこともあるようです。
ただ、性行為だけではなく、手をつないだり、ハグをしたりするだけでも、オキシトシンは分泌されます。いつまでも幸せな気分でいるために、スキンシップは欠かさないようにしたいものです。
いかがでしたか?
オキシトシン分泌により、気分が落ち着き、幸福感に包まれ、ストレスが軽減されるとしたら、ストレスによる病気を防げることはもちろん、毎日が楽しくなりますよね。
一部の「触られるのが苦手」という人に対して以外は、恥ずかしがらずに、スキンシップを仕掛けてみてはいかがでしょうか?