今まで普通に何気なく話をしていたかと思うと、突然激しく起こり始めたり、泣き出したり、逆に急にハイテンションになって早口で話し始める・・・
このような感情の起伏が激しい人が、あなたの周りにいませんか?
シチュエーションや程度にもよりますが、そうなってしまうとコミュニケーションが取りづらくなる、そこから話の収拾がつかなくなるようなことがあるなら、もしかしたら、その状態は病気から来るものである可能性があります。
また、普段の自分にそのような状態になる心当たりがあるのなら、まず症状を確認してみましょう。
感情の起伏が激しい人の特徴

普通であれば、人は相手とコミュニケーションを取りながら、腹の立つことや悲しくなることがあっても、できるだけ抑え、感情をコントロールします。
しかし、そのコントロールができず、大声で激しく怒ったり、周りに迷惑をかけるほど泣きわめいたり、我を失って周りが見えなくなるほど感情を表に出してしまう人がいます。
そうなってしまうと、当然コミュニケーションは取れなくなるし、その場はうまく治めたとしても、またそうなる可能性を考えると、付き合いを考えなければならなくなりますよね。当人にも自覚がある場合は、自分でもどうしていいかわからず、人とうまく付き合えないことで引きこもりになってしまう可能性があります。
そのような感情の起伏が激しい人には、いくつかの特徴が見られます。
・自己顕示欲が強い
・物事が自分の思い通りにならないと、我慢ができない
・おせっかいなところがある
・いつも多忙で、ストレスをため込んでいる
・女性の場合、生理であったり更年期障害を抱えている
などこのような特徴があり、感情の起伏が激しく、そのために日常生活を送ることに支障が出るようであれば、病気の可能性があります。
では、これらの症状から、どのような病気の可能性が考えられるのでしょうか。
感情の起伏が激しいことから考えられる病気とは

・躁うつ病(双極性障害)
気分の病的な盛り上がりと落ち込みを繰り返す症状で、その状態から戻ると、自分がそのような状態だったことなどなかったかのように、普通に戻ってしまいます。
原因としては、遺伝的要素、環境的要素が考えられますが、過度のストレスや生活の乱れが原因で発症することもあるようです。
また、事前にうつ病の兆候がある人は発症しやすいという傾向もあります。躁うつ病は、躁の状態(テンションが高すぎる状態)からうつの状態(激しく落ち込む状態)に切り替わったとき、躁状態時の自分の行動を激しく後悔して自傷的な行動に出ることがあり、自殺の原因の一つに挙げられています。
治療法としては、安定剤や抗うつ剤を使う薬物療法や、心理療法があります。生活リズムの乱れが原因になっている場合は、生活習慣の指導を受けることも有効です。
早期に治療することが重要な病気ですので、気になるようなら早めに専門家を受診することをお勧めします。
・境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)
境界性とは、神経症と統合失調症の境界にある症状という意味で、感情の起伏が激しく衝動的で、自分では感情のコントロールができなくなります。周りが困るほど感情の起伏が激しく、コミュニケーションが非常に取りづらいこともあり、対人関係が不安定です。
また、極度のストレスがかかることによって、記憶障害になる可能性もあります。原因としては遺伝的要因と環境的要因があります。
治療法として、抗不安薬や抗うつ剤、カウンセリングがあります。本人の治したいという強い意欲を必要とする病気ですので、周りのサポートも得ながら取り組みましょう。
・ホルモンバランスの乱れからくるもの
女性の場合、生理や更年期障害によるホルモンバランスの乱れによって、感情の起伏が激しくなることがあります。女性の体の仕組みをコントロールするのは、卵胞ホルモンであるエストロゲンと、黄体ホルモンであるプロゲステロンです。
生理が始まる前になると、黄体ホルモンであるプロゲステロンが増加し、これが精神的不安定、イライラを引き起こす原因になると言われています。
また、女性が更年期を迎え卵巣の機能が低下するときには、卵胞ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンが減少すると、脳が卵巣に分泌を促す指令を送りますが、機能が低下している状態ではエストロゲンを分泌することができません。
このように、女性の体をコントロールする2つのホルモンバランスが崩れることで、イライラしたり感情をコントロールすることができなくなることがあります。
治療法としては、ストレスをためずにリラックスして過ごすように生活習慣を見直す、食事療法、婦人科にて症状に合った薬を処方してもらうことなどがあります。
どちらも一時的なものですが、あまりにも症状がひどければ早めに受診するようにしましょう。
いかがでしたか?

感情の起伏の激しさは、ストレスやホルモンバランスの乱れなど、目に見えないものが原因であることが多いようです。
けがをしたり風邪をひいたり、痛みや目に見える症状が出る病気においては、人は素早い対応ができますが、ストレスやホルモンバランスの乱れなど、目に見えず痛みがない症状に関しては、人は対応を後回しにしがちです。
しかし、そういった目に見えない症状から来る病気が表に出て、生活のさまざまなシーンにおいて自分や相手に対して苦痛を与えることがあります。そうなる前に、目に見えず痛みのない症状だからこそ、より一層の注意と素早い対応が必要になります。
いつもの自分より調子が悪い、相手の様子がおかしいと感じるなど、普段と違った雰囲気を感じたら、まず手を休めて、多めに休養を取るようにしましょう。
ストレスをため込みすぎないよう、自分をいたわる時間を取ることが、何よりも一番良い薬になるのかも知れませんね。