摂食障害には、「拒食症」と「過食症」があり、思春期・青年期の女性に多く見られます。
拒食症の方は、食事の量を非常に制限し、かなり痩せた状態になっても体重が増える事を強く恐れています。栄養失調から生理が止まり、低体温、低血圧などの身体症状が出てきても危険だという意識はありません。
過食症の方は、自然にお腹がすいたというよりも、心理的な飢餓感があり、食べ始めると止まらなくなります。その一方、体重の増加を防ぎたいという思いで、無理やり嘔吐したり、下剤の乱用が見られます。過食を恥ずかしい事だと思い、抑うつ的で自己嫌悪感がとても強いです。
一見対局にある2つの症状ですが、拒食と過食の両方を繰り返したり、拒食から過食へと移り変わったりする事もあります。
摂食障害の主な原因について
【家庭環境】
家庭での問題で一般的に言われているのが愛情不足です。幼い頃、愛情をもっとも必要としていた時期に愛情を十分に受け取れない事で、本人の性格に影響を及ぼしている事もあります。
もちろん母親だけでなく、父親も同じです。育児不参加や亭主関白、家庭内暴力、両親の不仲、離婚など原因は様々です。しかし、全てこの環境が原因というわけではありません。健康に過ごしている方もいる為、あくまでも原因の一つです。
【職場環境】
人間関係、仕事でのトラブル、ストレスと精神的負担は多々あります。ストレスは誰でも抱えていますが、完璧主義な人や自分を責めてしまうような人は精神的な理由から摂食障害になる可能性があります。また、過労から過食に走ってしまうケースもあるのです。
【ダイエット】
摂食障害の大きな原因で最も多いのは、ダイエットです。痩せている事が美しいという気持ちから過度なダイエットをし、摂食障害に陥ってしまったというケースです。自分に自信がなく、ダイエットをしなければならないと思い込んでしまいます。だんだん痩せていくとそれが嬉しくなり、止められなくなってしまいます。その心の中には、ルールが出来てしまい、もし食べ物を口にしたとしても、無理やり吐く行為を続けてしまうのです。
原因については他にも色々な要因がありますが、繊細な人ほどどんどん症状を気にしてしまい、治りづらい傾向があります。
一度軽い症状が出た際に、あまり気にしすぎてしまうとそれも逆効果になってしまう可能性があります。
治療方法はあるのか?
摂食障害の治療はまず、カウンセリングから始まります。臨床心理士など資格を持った専門スタッフが行い、患者の方と一緒に解決への突破口を見つける事を目的としています。
【薬物療法】
薬を使用し、治療をします。ただ薬は、病気からくる症状を軽減する目的で処方するもので、摂食障害そのものが治るわけではありません。
症状を和らげる事で精神的にも安定し、そのまま症状が改善していくことはもちろんあります。
【自己概念の修正】
摂食障害の原因の一つとして偏った自己概念があげられます。自分は太っていると思い込んだり、自分はダメな人間だとネガティブな考えを持っています。そのネガティブな思い込みを修正する目的があります。
【行動療法】
拒食や過食など、不適切な食行動をなくすための治療法です。
【入院治療法】
拒食症で状態が悪化し、命にかかわるような時や自傷行為を繰り返しているような場合には、入院の必要があります。
摂食障害を持つ方の中には、日々の生活リズムが不規則になってから発症したという方もいます。
学生時代や会社員時代は規則正しい生活を送っていたが、結婚をしたり、離職をしたりする事で時間が出来てしまい、暇な時間にネガティブ思考に陥って悪い症状がループしてしまうのです。
やることがないと人は余計な事を考えてしまうのです。もしもそういった状況にいるのであれば、悩む時間がなくなるくらい何かに没頭したり、予定を入れる事も症状向上の良いキッカケになるかもしれません。
いかがでしたか?
摂食障害と一言でいっても、その原因や治療法は人によって異なります。
摂食障害を治すのにとても効果的なのが、信頼出来る理解者の存在です。家族の中・あるいは信頼出来る友人とで原因を解明し、患者さん自身がストレスなく自立していけるように家族で問題に取り組んでいくことも大切です。
他にも同じ病気で悩みを抱える方同士が交流をすることにより、自分だけではないという孤独感から脱出し、プラス思考を形成する効果のある治療法もあります。
「摂食障害の症状が出ているのに、誰にも打ち明けていない」という方は、いちはやく信頼出来る方に相談してみてください。
この記事を読んで少しでも勇気を出して頂けると嬉しい限りです。症状がよくなるようお祈りしております。