「整形依存症」という言葉をご存知でしょうか。
最近では、テレビやニュースで美容整形についての情報がオープンに話題にされることが多くなり、美容整形手術は身近なものになっています。
美容整形手術を行う目的とは、手術を行った後の自分に満足し、幸せな人生を送るところにあります。しかし、手術を行って思い通りの自分を手に入れたにも関わらず、結果に満足できずにまた整形手術をするという人が増えてきているようです。
このような状態を、整形依存症(身体醜形恐怖症)と言い、特に女性に多く見られているということです。
整形手術を繰り返す原因

整形依存症とは、身体的な美醜にコンプレックスを強く感じるあまり、何度も美容整形を繰り返し行ってしまう、精神疾患の1つです。
自分は醜い、と思い込み、美しくなりたい、整形手術をしてコンプレックスを解消しなければならないという一種の強迫観念にかられ、何度も何度も体のあちこちに整形手術を繰り返し、歯止めがきかなくなってしまいます。
整形依存症の特徴は、他人から見たらまったく気にならない程度の欠点を異常に気にして、整形手術を行わずにはいられないところにあります。
さらに、体のあちこちに何度も繰り返す手術で、全体のバランスがおかしくなっていることに本人はまったく気付いていないところにもあります。
誰でも1つは持っているコンプレックス。気にする具合はひとそれぞれで、まったく気にしない人もいれば、そのコンプレックスのせいで外出も嫌になってしまうほど深刻になる人もいます。
整形手術はそんな深刻な悩みを抱える人を救う、すばらしい技術です。手術と言うくらいですから、医師免許を持っている医師が行うもので、専門の知識や技術、経験が当然必要とされます。
しかし、そのように経験を積んだ医師が行っても、失敗や後遺症のリスクはゼロではありません。手術を繰り返し何度も行えば、そのリスクは高くなります。
整形手術を繰り返すリスク

整形手術を繰り返すことで起こるリスクとして、手術による後遺症や感染症があげられます。当然、失敗して思った通りの姿になれなかったというリスクも考えられます。
では、具合的には、どの部位でどのようなリスクがあるのでしょうか。
整形手術においてポピュラーなものとして、第一に目の切開手術があります。目頭を切開して目全体を大きくするという手術で、痛みが少なくてすむというのも人気の理由です。
しかし、目の周りの皮膚は薄くデリケートなため、腫れがなかなかひかず、粘膜が感染症にかかってしまうこともあります。切開した傷跡が残ったり、切開しすぎて怖い表情になってしまった例もあるとのことで、元に戻すことは難しいので、繰り返すことは相当危険です。
次にポピュラーな整形手術は、鼻の手術です。
注射器でヒアルロンを注入して高さを変える手術は切開をしなくても済むので、目よりも簡単に済みます。しかし、鼻は顔の中心にあるため、失敗するととても目立つことになります。また、ヒアルロンは体内に吸収される物質のため、吸収を防ぐために異物を混ぜることもあり、激しい痛みや腫れを引き起こしたり、ひどい場合は鼻の皮膚が壊死したという事例もあるとのことです。
顔のしわとりとして知られているボトックス注射は、ボツリヌスという菌を注射器で注入して、筋肉を動かないようにします。
筋肉を動かさないようにするということは、顔の表情がなくなるということ。繰り返し行うとこわばってしまい、表情がなくなってしまうこともあります。
死亡事例も聞かれた脂肪吸引手術は、皮下に機械を入れて体の脂肪を吸引するものです。大量出血や、機械の操作ミスで内臓を傷付けてしまうこともある、大変危険の伴う手術です。感染症のリスクも他の手術に比べて高く、体液のバランスを崩して腎臓の働きが悪くなるリスクもあります。
整形依存症の治療法

整形依存症の原因はどこにあるのでしょうか。
それは、他人から見るとささいなことでも、本人にとっては人生を左右するような「コンプレックス」にあります。このコンプレックスがどこからきているものなのかを探り、それを解消しないうちは、いくら整形を繰り返して見た目を変えても、満足することはできません。
自分自身の意思で整形の繰り返しを止められない場合は、カウンセリングや専門科の力を借りましょう。今までに何度か整形手術を受けたことがあり、また次もさらに繰り返したいという気持ちを止められなくなってしまい、自分はもしかしたら整形依存かも知れないと感じたら、一度相談に行きましょう。
いかがでしたか?

整形依存症には、心身的なリスクのほかに、金銭面での大きなリスクもあります。整形手術は保険適用外な手術のため、ただでさえ高い費用がかかってしまいます。
それを繰り返すということは、莫大な費用がかかるということになってしまい、ローンで苦しんで経済的に破綻してしまうこともあるでしょう。
また、繰り返し行うことで元の顔が分からないくらい異様になってしまっても、もう元の顔に戻すことはできません。整形手術の後遺症で、さらに手術が必要になることもあり、そうなってしまったら、心のバランスを保つこともできなくなるリスクもあります。
目が理想より少し小さい。でも、唇の形は美しい。鼻が少し低いけど、目が美しく輝いている。人には必ず、劣っている部分と優れている部分の2つがあります。
劣っている部分にではなく、優れている部分にもっとフォーカスして、見た目だけではない内面からの美しさに目を向けるようにしましょう。
内面から美しい人こそ、本当に美しいと言える人なのです。