恐怖症に関して

「狭いところが怖い…」閉所恐怖症の原因と克服方法は?

閉所恐怖症

エレベーターや満員電車、狭いトイレの個室など、狭い場所に入ったとき、急に動悸がして息苦しくなることはありませんか?

閉鎖された狭い空間に入ると、その空間にいることが怖くなり、何としてもその空間から脱出したくてパニックになってしまう、閉所恐怖症という病気があり、この閉所恐怖症には2つのパターンがあります。

1つ目は、家の押し入れ、電車内や個室のトイレなど、閉ざされた狭い空間に入ると異常に恐怖を感じてしまうという、よく知られている症状の恐怖症です。動悸、異常な発汗、めまい、息苦しさなどという症状が出てパニックを起こし、平常心を保てなくなります。

2つ目は、閉所に対する恐怖症の症状が出てしまうことに恐怖を感じる、閉所恐怖症です。以前に恐怖症の症状が出てパニックになってしまった経験から、同じように苦しむことに極度の恐怖を抱いて、重度になると外出もままならなくなります。

閉所恐怖症とは、この「閉所に対する恐怖」と、「閉所で症状が出てしまうことに対する恐怖」が元になり起こる恐怖症ですが、では一体、なぜ閉所に対してここまで恐怖を感じてしまうのでしょうか?

閉所恐怖症を引き起こす原因

閉所恐怖症

どちらのパターンの恐怖症も、閉所での辛い体験や恥ずかしい目にあった経験がトラウマとなって引き起こされることが多いようです。

例えば、乗っていた電車がトラブルによって長時間止まり、トイレに行けなかったり、立ち続けて辛い思いをした経験や、エレベーターの事故で何時間も閉じこめられたりしたなどという経験からくるトラウマによって引き起こされることがあります。

同じような経験をしても、まったく平気な人がいれば、中にはこの上なく恐怖を感じている人もいます。いつ出られるかわからない、自分の置かれている状況が見えないまま何時間も過ごすことは、相当辛い経験でしょう。

自分が恐怖を感じた場所、あるいはその場所に似たような場所に近付くと、そのときの恐怖や苦しみがよみがえって、再びそのような経験をしたくないという拒否反応が体に出ます。

これが閉所恐怖症です。

最近では、健康診断などで利用するMRIに入れられることに恐怖を感じて、検査を受けられないという話も聞きます。ただでさえ健康診断は、病気が見つかるかも知れないという不安がありますよね。さらに、大きな機械に入れられて、出られなくなったらどうしようという不安もが重なり、抑えられないほどのパニックを起こしてしまうのでしょう。

また、飛行機という、それほど閉塞感を感じない空間においても、恐怖症を発症する場合もあります。ここでも、地上から離れているということが、恐怖をより強く感じさせているのでしょう。

生活のあらゆる場所で発症する可能性がある、閉所恐怖症。重症化してしまうと、外出することまで怖くなってしまい、引きこもりの原因にもなってしまいます。

閉所恐怖症の克服方法

閉所恐怖症

では、閉所恐怖症はどうしたら克服できるのでしょうか?

一番のポイントは、「恐怖体験からくる恐怖のイメージを解消する」ことです。例えばエレベーターに閉じ込められたことが原因で閉所恐怖症を発症したケースであれば、エレベーターに対する恐怖のイメージを良い方に変えればよいのです。

まず、エレベーターに安全に乗っているところをイメージし、恐怖を感じてきたら、リラックスする、落ち着いたらまたイメージしてみる。これを繰り返して行います。

エレベーターに対する恐怖のイメージを。事故は起こらない、乗っても安全だというイメージに変えて、恐怖を薄めていきます。

自分では難しいようであれば、恐怖症を克服するカウンセリングを受けるとよいでしょう。

エレベーターに対する恐怖のイメージが変わってきたら、次に、実際にエレベーターに近づいてみます。このとき、無理は厳禁です。無理に近付こうとするとパニックを起こす可能性があり、そうなると恐怖がより一層強まってしまいます。

あまり恐怖を感じずに近付くことができるようになったら、次はエレベーターに乗ってみましょう。1階分ずつ上がってみて、パニックになりそうであれば、すぐに降りてください。

こうして、エレベーターという閉所に対してつけられた「恐怖のイメージ」を消していくことで、閉所恐怖症を克服することができます。

同じように、電車や会議場などの恐怖症に対しても、イメージを変えることで症状を和らげることができます。

恐怖症状があまりにもひどく、日常生活を送ることが困難なほどになってしまうと、自力でのイメージ療法は困難ですので、専門科に相談することをお勧めします。

長引くとなかなか治りにくくなっていきますので、異変を感じたらすぐに相談に行ってください。

いかがでしたか?

閉所恐怖症

恐怖症には多くの種類がありますが、その中でも閉所恐怖症はきっかけである場所が身近にたくさんあるだけに、発症しやすい恐怖症と言えます。

恐怖症は、他人からしたら大したことのないことに対して激しい恐怖や不安を感じる病気です。それゆえに、周りから理解してもらえないことが多く、それがさらに本人の辛さを増します。

もし周囲に閉所恐怖症や何らかの恐怖症を抱えている人がいたら、できるかぎりサポートしてあげましょう。
恐怖症は、自分自身もいつ何がきっかけで発症するかわからない身近な病気なのです。