ビジネスにおける問題のほとんどは、コミュニケーションの悪さが原因と言われています。相手先とのコミュニケーションはもちろんですが、中には社内のコミュニケーションで悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
その解決には、優れたコミュニケーションが必要になってきます。ビジネスとは、なんらかの問題を解決する手段であるとするならば、ビジネスパーソンに求められるのは結局のところコミュニケーション能力であって、その他の要素は「枝葉」の問題であるとも言えるわけです。
特に上司や部下の関係性であれば「メラビアンの法則」や「ストローク」という心理的要因が非常に重要になってきます。用語だけ見ると一見難しそうですが、そんな事はないのでぜひ参考にしてみてください!
「メラビアンの法則」言語によらないコミュニケション能力
人付き合いが上手い方は重宝されるように、人間関係を上手く築くというとこは大切な要素のひとつですよね。コミュニケーションと聞くと「話上手な人の事?」と思われる方も多いかと思いますが、要素はそれだけではありません。
言語に頼らないコミュニケーション能力も必要である事をご存知でしょうか?メラビアンの法則という1970年代初頭にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したものです。
話し手が「内容のはっきりしないこと」を伝えたとき、聞き手はその内容の7%を言語的な情報から、38%が話の速度といった聴覚的な情報から、そして55%を表情などの視覚的な情報から得ているという実験結果が導かれました。
ここから、コミュニケーションにおいては、見た目などの視覚的な情報「も」重要である、という仮説が生まれました。注意が必要なのは、「メラビアンの法則」は、あくまでも「話の内容がよくわからない」という限定的な場合に有効な仮説だということです。
要するに「この人なに言ってんだろうな〜」という時には、話の内容以外で情報を判断しているという事です。「話はそんなに上手くないのに、この人の話は妙に信憑性があるな」とか「話が上手いけど、嘘くらいな」というのは、言語的な情報以外から得ているという事です。
仕事の世界には「内容のはっきりしないこと」が少なからずありますよね。そういう場合には「メラビアンの法則」、すなわち言語によらないコミュニケーション能力が重要になってくるでしょう。
もちろん自分が伝える時以外にもこの力は必要になってきます。例えば上司から何か指摘やお褒めの言葉を頂いた時に、ただその言葉を真に受けるだけではなく「上司は本当は何を考えているのか?」を言語以外の部分から感じ取る力が求められます。
反対に部下から何かを伝えられる際もこの能力は必要で、とくに部下は”上司には悪い情報ほど伝えにくい”という心理を持つものなので、この点については常に注意する必要があり、部下が本質的に伝えたい事を見抜いてあげるか、本音を話すまで親身になって聞いてあげる事が必要になります。
これまでの人間関係を経て、「直感的にそんな事ぐらい感じ取れるよ」という方は問題ないかもしれませんが、少し意識するだけでより相手を客観視する事が出来ます。
より具体的には、だれかと会話しているときに、相手の態度の中に「なにか、もっと言いたいことがありそう」という感覚を得たら、「メラビアンの法則」を思い出し、そこを深掘りしてみるべきでしょう。
あなたの上司は「ストローク」が欠けている?
「なんかこの上司、人の上に立つ素質ないような気がする…」
仕事をしているとどうしても嫌な人が上司になったりしてしまいますよね。同僚や同じ部署内でその人の愚痴を言うのがよくあるパターンかもしれませんが、その上司の何が嫌なのか、もう少し客観的にみると少し冷静になれるかもしれません。
肯定的ストローク・否定的ストロークとは?
英語として直訳すると「叩く」「なでる」とか「めぐりあう」といった接触に関連する言葉なのですが、心理学的には「相手の存在に触れる」といった意味で使われます。
このストロークには「否定的」と「肯定的」の2つの意味合いがあります。
①肯定的ストロークとは
肯定的「ストローク」とは、良い意味で身体に触れるといった物理的な接触のみならず、微笑みかけたり、褒めたり、相手の価値を受け入れたりするといった精神的な接触も含まれます。
微笑まれたり、褒められたりしたら皆さん嬉しいかと思いますが、人間はこのような肯定的「ストローク」を求める生き物といっても過言ではありません。
②否定的ストロークとは
これに対して否定的「ストローク」としては、叩くといった物理的接触だけでなく、叱る、怒る、相手を否定するといった精神的な接触もこれに含まれます。
ビジネスでいうと、マネージャなどの管理職の人が「肯定的ストローク」が苦手だと言う場合はマネージャーとしての能力に疑問があります。
セクハラなどの物理的接触(否定的ストローク)をするような方は論外かもしれませんが、この肯定的ストロークを上手く行えない人って意外と多いんです!
相手に微笑みかけたり、相手を褒めたりする能力が欠けている、あるいはぎこちないと部下も疑問を感じてしまうかもしれません。
いつもめちゃくちゃに怒られていても、最後には思いっきり褒めてくれるような上司は慕われやすいですが、いつもどっちつかずな態度でネチネチ怒ってくる上司だとストレスが溜まりやすかったりしますよね。
「肯定的ストローク」は言葉や表情によるものであり改善が可能です。あなた自身もそのような上司になってしまわないように、意識してうまくなるように心掛けましょう。
だれにとっても難しいのは、上司として部下を叱らなければならない場合のように、他者に対して否定的「ストローク」を行うことです。個人は、それぞれ「ストローク」に関して異なる反応をするため一概には言えませんが、他者に対して否定的「ストローク」を実施する場合は、その前に、より本質的な部分については肯定的「ストローク」を相手に与えておくことが大切になりそうです。
たとえば、だれかを叱る場合は、その前に、自分にとってその相手がいかに大切な存在であるかが伝わっていなければ、否定的「ストローク」の結果として、関係性がこじれてしまうことがあるので気をつけましょう。
いかがでしたか?
今回はビジネスに必要な2つの要素をお伝えしました。簡潔にまとめると以下の通りです。
・だれかと会話しているときに、相手の態度の中に「なにか、もっと言いたいことがありそう」という感覚を得たら、「メラビアンの法則」を思い出し、そこを深掘りしてみる。
・他者に対して否定的「ストローク」を実施する場合は、その前に、より本質的な部分については肯定的「ストローク」を相手に与えておくことが大切になる。
嫌な上司がいたり、反対に部下がなついてくれない、という場合はこういった要素を客観視し、「なぜコミュニケーションがうまくいかないのか?」を冷静に分析してみるのも大切かもしれませんね。